細かい話を始めると長くなってしまうので後回しにして、結果を先に言っておくとゴキブリ退治の市販品を色々試した上で一番効果が現れたのはアース製薬のブラックキャップだった。それを30cm間隔に設置し、冷蔵庫やテレビ、電源タップ等の常に熱を持つような箇所や水場には10cm間隔で設置し結界を張る。十二畳のスペースに3〜4箱分使うのが目安。私が経営する飲食店ではこの方法でゴキブリの完全駆除に成功した。けちけちすると効果が期待出来ない。バルサンやゴキブリがいなくなるスプレー、コンバット、ごきぶりホイホイ、ゴキンジャムなどでは完全に奴らを退治する事は出来なかった。まずは迷わずブラックキャップ。


STEP 1 アジトの特定

注意しなければならないのは、ブラックキャップは毒餌という性質上ゴキブリを誘導する為、ゴキブリのアジトを特定し、適切に設置しなければ逆に目にする機会が増える危険性をはらんでいる。それ故、まずはゴキブリの性質を知る必要がある。奴らの好物BEST3は"暖かい場所" "隙間" "水分"だ。よほど不衛生でないかぎり、大きなクロゴキブリが室内で繁殖するのは難しい。奴は餌の無い環境ではそのサバイバル能力を発揮出来ないからだ。クロゴキブリはジメジメとした床下や、ゴミのある屋外で繁殖し、屋内に侵入してくると考えて差し支えないだろう。その侵入経路を塞ぐのが重要だ。やっかいなのはチャバネゴキブリ。繁殖能力が非常に高く、食べ物一つ落ちていないような環境でも生き延びる。奴らはわずか1ミリの隙間でさえアジトにしてしまう為、隙間を全て埋めるのは不可能に等しい。熱を持った家電製品、特に冷蔵庫のまわりを好む。私の店では内ゴキを完全に駆逐する事ができたが、入り口を開けっ放しにすることも多々有るため、侵入者を完全に食い止めるのは難しい。ゴキブリが侵入してきたらゴキブリ凍止ジェット。


STEP 2 アジトまわりに設置

私の店を例に挙げると、設置場所の重点区域は冷蔵庫、ブレーカー、変圧器、電子レンジ、電源タップ、水回り、パソコン、冷凍ストッカー、ビールサーバーだ。奴らの活動が活発になる暖かい春の前にブラックキャップを5箱分設置。設置した日付をブラックキャップ本体にポスカで書いておくと交換のタイミングが解り易くて便利だ。そして半年たったら新しい物と交換するというサイクル。これで内ゴキは完全に駆逐できた。ゴキブリを店内で見る頻度は2年に一匹という具合(侵入者)。友人が引っ越した一軒家は四方を家と塀に囲まれおり、風通しが悪く床下に大量のクロゴキブリが生息していた。シロアリも居た為に家は隙間だらけで、そこから室内にどんどん入ってくるという地獄。家の中にチャバネは見当たらなかった為、家のまわりにブラックキャップ屋外用を大量に設置すると、効果はすぐに現れ、2週間もしたらゴキブリを見かける事は無くなった。

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2013年5月29日水曜日

ゴキブリ恐怖体験7

梅雨も終わりかけた浅い夜、客席には板前のNさん一人きりという暇な店内であった。私も少し酒を口にしながら包丁について語り合っていると、Nさんの背後に黒い陰が動いた。それは大きな黒ゴキブリだった。またか、、、私は相手を落ち着かせるような静かな口調で話した「そこを動かずに冷静に聞いてほしいのですが、実は後ろの壁にゴキブリが居ます。今から退治しますので、ゆっくりと入り口の方へ移動して頂いてもよろしいでしょうか」。Nさんは飲食経験が長いだけにゴキブリには慣れているのが幸運だった。そこに居るのが虫の苦手な女性客であったらどのように対処してよいのやら今考えても解らないのだから。私の心中を察した彼はゴキブリを刺激しないようにすり足で移動してゆく。私は雑誌を丸め、One Shot One Killといういつものスローガンを頭に巡らして集中力を高めていた。私はボール投げのコントロールは最悪だが、バッティングにはそこそこの自信があった。ぶつける面積が最大になるようにその原始的な兵器を地面と平行に構え、奴が汚らしく潰れないように全力の五分の二程度の力で振り切った。その曖昧な加減、それが命取りとなり一度叩かれた奴はポトリと地面に着地すると、潜在能力を絞り出したようにもの凄いスピードでキッチンに向かって行く「なんでまたキッチンの方向に」。私はホームベースを刺すようなもの凄い勢いで足を出し奴の方向を変えると全力でスニーカーのソールを奴に振り下ろした。苦しんでいる時間も無いままに、奴はタイルの上で即死していた。Nさんは"何もそこまでムキにならなくても"という冷ややかな目でこちらを伺っていたが「いずれ自分の店を構えた時に、貴方も同じ鬼になるのだよ」と頭の中でつぶやいた。アーメン

2013年5月28日火曜日

ゴキブリ恐怖体験6 千葉県にお住まいの男性Mさんからの投稿

その日は珍しく深酒をした夜だった。田舎で同級生達が久々に集まれば、軽く一杯で帰る事はまず有り得ない。どこにでもあるようなチェーンの居酒屋でたらふく飲んで、電車に乗るまでは背筋を正していた。足下が暖かい椅子の上でうとうとしながらも乗り過ごさずに◯◯駅で降り、薄暗い夜道を自分なりに真っ直ぐ歩いて、入り口の蛍光灯がチカチカと点滅しているのが目印のボロアパートの細長い階段を登り、なんとか自分の部屋に侵入すると明かりも消さずに倒れるように布団に傾れ込んだ。天井が少しだけグラグラと回るが、疲れはその気持ち悪さに勝り眠りに着いた。どれぐらいの時間が経過したのかはまるで不明であるが、夢の中で頰を刺す何者かが私の眠りを妨げた。「秋も終わろうとしているのにまだ蚊がいるのか」そう思いながら右手で自分の顔の半分を叩いて、まぶたをゆっくり開けるとその手には潰れて内蔵が飛び出したチャバネゴキブリが居た。奴は私のよだれを飲んでいる最中のようだった。アーメン

2013年5月26日日曜日

ゴキブリ恐怖体験5 東京都にお住まいの女性Mさんからの投稿

私はとあるビルのトイレの中に居た。用を足し、下ろしていたパンツとパンツを元のように履き直し、扉を開けて数歩進むと腰骨辺りに違和感を覚えた。それは化学繊維で出来た品質表示のタグが肌に刺さっているとしか思えないような引っかかりだった。位置を変えようとして手を伸ばすとぬるっとした感触が指先に走った。間違いなくそれはタグではない何かであった。さっきまで入っていたトイレに後戻りして、私は恐る恐るパンツを下ろした。そこには腰とパンツの間に一気に挟まれ潰れたクロゴキブリが安らかに眠っていた。アーメン

2013年5月24日金曜日

ゴキブリと後遺症

ゴキブリを完全に退治した今となっては総菜をカウンターに並べても安心出来るぐらいに平和だが、未だに店内で黒い点や3cmぐらいの茶色い物体を目にすると、瞬発的に戦闘モードに入ってしまう。それは黒ごまであったり、欠けたアーモンドであったりするのだが、その瞬発的戦闘モードに入ってしまった時に「どうしたんですか?」とお客さんに声をかけられ我に返る。お客さんが言うにはそんな時の私は凄い形相をしているらしい。目を見開き明らかな殺意を顔に浮かべるような。これは接客業を営む者として失格だ。ゴキブリに人生を軽く引っ張られてしまった。ゴキブリ パイセンにもう少し知性があれば「ご飯は毎日勝手口であげるから店の中には出て来ないように!」というような平和的交渉も出来るのだが。。。

2013年5月23日木曜日

ゴキブリ駆除業者

ゴキブリの度重なる出現に頭を悩まされていた時代のとある日。店のシャッターにハガキサイズのペラペラの紙が挟まっていた。それは随分とレイアウトが雑なチラシであった為、どうせ金貸しの広告だろうと思いながらもざっと目を通すと"ゴキブリでお困りではないですか?たったの3万円で駆除致します"のような内容で「費用は大して高くはないがそれならダスキンに頼んだ方がのちのちゴキブリが再発生したとしても速やかに対応してくれそうだ」などと考えているうちに一つの疑念が沸き上がってきた。まさかチラシを入れた業者はゴキブリも一緒にポスティングしてやいまいか。チャバネをポイッと5匹ぐらい入れて、程よく繁殖した時期にチラシを、、、

2013年5月22日水曜日

バルサン プロ EXを使った時の話

ゴキブリを完全駆除できずにあれこれと試していた時代、これはもう煙で退治するしかないだろうと思い、バルサン プロ EXを購入した。店の営業が終わり、店内中央にそれを置いて蓋をこすると思っていた以上に朦々と煙は立ち上り、そそくさと店を後にした。後日、昼頃に勝手口から店に入りまずはシンクに目をやった。いつも一匹ぐらいは見かける場所だ。しかし奴らの気配はなく、店内をうろうろして隈無くチェックしても奴らの陰は見つからない。「これはもしかして」そんな淡い期待が膨らんでいる最中に小さなチャバネゴキブリが1㎜程度しか無い木製カウンターの継目から顔を出した。私は反射的にアルコール除菌スプレーをその継目に向かって噴射すると、漫画でしか見た事の無い地獄のように、子供ゴキブリが苦しみながらうじゃうじゃと沸いて出てきた。その後、一時的に成虫は居なくなったのだが、結局バルサンを焚く以前と変わらない状態となってしまった。

2013年5月20日月曜日

戦友 ゴキブリとの戦いが生んだ絆

私の家の近所には魚定食が美味しい店が有る。北海道直送の魚を備長炭でふっくらと焼いてくれる定食屋だ。毎日5種類の新鮮な魚から選ぶ事ができ¥700は安い。文句が有るとすれば混んでいるためカウンターにきつきつで座らなければならない事ぐらいか。その日は梅雨を前にして入り口の戸は開けっ放しになっていた。のれんを潜ると、いつも通り忙しそうに体を動かしている女将に挨拶し、赤魚定食を注文した私はカウンター席に座った。注文を受けてから生の魚を焼き始める為それなりに待つ事になるが、その待ち時間に炭に焼かれた皮の香りを嗅いでいると胃袋が大きく開いてゆく。食事前の大切なひと時だ。女将は作業に多少の余裕があると「どう?景気は?」と話しかけてくれる。飲食店の経営者同士の挨拶にも似た確認作業。「いやー震災以降は全然ですねー」己の怠惰を棚に上げ、地球のせいにしておけば角は立たない。「いらっしゃい」またお客さんが入ってきた。女将が慌ただしく手を動かし始めると、普段見る事の無いテレビに目を向けた。3.11から二ヶ月が過ぎ、胡散臭い専門家が放射能の危険性について話している。すぐに飽きてしまい目線を落とすと黒ごま大の粒が重力に逆らってカウンターの側面に張り付いていた。チャバネゴキブリの子供だった。これは完全に店内に繁殖しているタイプで、女将の苦悩が見て取れるようだった。横に座っている人々は気付いていない様子。誰にも悟られないように奴を殺す道具を探したが、この店にはおしぼりも紙ナプキンも置いていない。私は下げられないまま置いてある食器の上に割り箸を見つけると、それの太くなっている方を標的に向けた。トン、という軽い音と共に奴は圧死。女将だけがそれに気付いて目が合わさった。無言で濡れたタオルを手渡され、私も無言でささっとカウンターを拭いてそれを返した。定食が出てくると、ご飯が大盛りになっていた。

2013年5月19日日曜日

ゴキブリ恐怖体験4

私は中学生にもなると母親をババアと呼ぶようになっていた。反抗期を迎えたという理由だけでなく、反抗というファッションを身に付け始めていたのだ。良い子に振る舞っていると同世代から馬鹿にされそうな気配も感じつつ、過保護で私を優等生に育てたがる強引な母親に無力な青春の憤りの矛先が向く事が多々有った。その当時の私は誰がどう見ても田舎のヤンキーという容貌。ロカビリーを意識していたのだが、黒く癖の入り乱れた天然パーマをリーゼントに仕立て上げるとブライアンセッツァーも首を傾げそうな、不良漫画に出てくる脇役のような醜悪な髪型が鏡の前に映っていた。中途半端につっぱって生きていて、いつものようにありきたりの不機嫌な態度で食事を終えた私は実家のリビングから自分の部屋へ気怠く歩いていた。東京湾が見える窓が大きく口を開いた夏だった。その海を背景に突如黒い生物が羽をばたつかせ一直線に私の顔をめがけて飛来した。最初は何だろうと眼を凝らしていたが、眼と鼻の先程に近づいてくるとそれがゴキブリである事に気付いた瞬間にポマードがべったりとついたリーゼントを両手で抱え体を低くよじり、聞いた事の無い情けない己の声の響きを耳にした。半端な不良なんていうものはそんなもんである。アーメン

2013年5月17日金曜日

ゴキブリ恐怖体験3

シャッターもまだ開いていないオープン前の店内に勝手口から入り、私はトイレに入った。交換用のトイレットペーパーが少なくなっている事に気付き、背伸びして棚に手を伸ばすと大きな黒い陰がちらついた。また奴だ。長いゴキブリとの戦いで身に付いたガスバーナー火炎地獄。触覚が燃えてしまえば奴らは死んだも同然で、一瞬の青い炎で仕留める事が出来るのだ。慣れた手つきでターゲットより下方にバーナーを構え、ガス量を調整するツマミに手をかける。呼吸を整えてから息を飲み、一気にガスを解放し点火した瞬間にクイックに手首を上に返した。奴は炎に包まれ一瞬で棚から落下。いつもであったらここで勝利の掃き掃除という流れになるのだが、なんとトイレ内に貼ってあった麻布の起毛に引火。勢いよくもの凄いスピードで燃え広がってゆく。慌てて素手でがむしゃらに叩いたら鎮火し大事には至らなかったが、壁が黒く焦げてしまった。これぞゴキブリ二次災害。アーメン

2013年5月16日木曜日

ゴキブリ恐怖体験2

外国人に恐れられている日本の蒸し暑い梅雨の最中、その息苦しさと多量の発汗による不快感で眼を覚ました私の喉は極度に乾いていた。布団から這い上がると暗い部屋の中を明かりも点けずに壁を伝ってキッチンまで歩き、ブリタの中に残っていた昨晩の蒸留水をグラスに注ぎ一気に飲み干そうとしたら上唇に何かが触れて、不思議に思い明かりを点けた。瞳孔が徐々に明るさに慣れて開いてくると、眼球のオートフォーカスはグラスに定まった。水面にはなにやら米粒大の焦げ茶色のカプセルが浮いており、その中から小さく色素の薄い生まれたての生物がうじゃうじゃと飛び出しているまっただ中だった。慌ててブリタの中も確認すると赤ん坊が大量に泳いでいる。そう、奴らは水が大好物。私は全てを排水口に流し込み、上からガスバーナーで火炎地獄をゴ馳走し、東京都の水道水を飲んでまた眠りに着いたのであった。アーメン

2013年5月15日水曜日

ゴキブリ恐怖体験1

あれは小学3年生ぐらいの夏だったか。いつもなら牛乳はマグカップに入れて飲むのだが、その日の牛乳パックの中身は少なく、一人で飲み干してもいいだろうと思える量だった上に、行儀が悪いと私を叱りつける母親も不在であったので菱形に広がった注ぎ口に唇を当てて、一気にくいっといこうとしたらコツンと上唇に何かが触れて、不思議に思い中を覗くと大きく真っ黒いゴキブリが中で溺れ死んでいた。そう、奴は牛乳が大好きなのだ。恐らくダイニングテーブルで口を広げた牛乳パックに侵入しグビグビとやっていた所、いきなり出口を塞がれて、奴の大嫌いな寒い冷蔵庫の中に閉じ込められ死に至ったのだろう。そんなことも知らずにいつもなら牛乳はマグカップに入れて飲むのだが、その日の牛乳パックの中身は少なく、一人で飲み干してもいいだろうと思える量だった上に、行儀が悪いと私を叱りつける母親も不在であったので菱形に広がった注ぎ口に唇を当てて、一気にくいっといこうとしたらコツンと上唇に何かが触れて、不思議に思い中を覗くと大きく真っ黒いゴキブリが中で溺れ死んでいた。アーメン